ホーム 実績紹介 マーケティングラボ一覧 MARKETING LABO <研究テーマ>移動者研究
“生活者”と“鉄道”にフォーカスした
Jコミ独自の研究レポートをお届けします。
<研究テーマ> 移動者研究 「移動者インサイト」:移動中の生活者、その行動と心理に関する研究
“移動者”とは通勤や通学で移動中の生活者のことで、本研究では主に鉄道を利用して通勤する“移動者”を対象としています。その“移動者”は鉄道利用者であり、駅ナカや駅チカで買物をする消費者であり、OOHや交通広告のオーディエンスでもあるのですが、駅周辺の商業環境が益々充実し、またスマートフォンやデジタルサイネージの普及により移動中の情報環境が急激に変化する中、潜在ショッパーとしての“移動者”、コミュニケーションターゲットとしての“移動者”が特に重要な存在になってきています。本研究はそういった“移動者”の行動特性と心理特性を捉え、それを駅や駅周辺施設のサービス向上や効果的なコミュニケーション手法の開発に結びつけることを狙いとしています。
移動者研究の第1フェーズでは「移動者インサイト」をテーマに、主に通勤で移動中の生活者の行動と心理を探ってみました。2016年から2017年にかけて計4回の定性調査を行い、そこで抽出した仮説を定量調査で検証するというプロセスで、移動中特有の行動と心理を分析しました。
ー研究レポートの一部、ご紹介ー
JコミMARKETING NEWS Vol.20(2019.3)<SUMMARY>
移動する生活者を知る
移動中の生活者、その行動とインサイト
~定量調査による仮説検証〜
2016年度以降のJコミマーケティングニュースでは、計4回の定性調査をもとに導き出した「移動者の行動とインサイト」に関する仮説をレポートしてきました。そして今回はこれまで抽出した仮説を京阪神在住の1000人の生活者を対象としたアンケート調査によって検証した結果をご紹介します。今回のレポートは移動者研究の第1フェーズを総括するダイジェスト版でもあり、この基礎研究の成果を第2フェーズでの応用研究に活かしたいと考えています。
移動者研究の目的
"移動者”とは通勤や通学で移動中の生活者で、本研究では主に鉄道を利用して会社勤めをする移動者を対象としています。その移動者は、交通広告やモバイル広告のオーディエンスであり、駅ナカ・駅チカ商業の潜在ショッパーでもあります。近年、急速にスマートフォンやタブレットが普及し、生活者は移動中に色々な情報を収集したりコミュニケーションしたりする機会が増え、また駅ナカ・駅チカ商業の開発が進み移動中に買物をしたりサービスを利用したりする環境も益々充実してきています。すなわち広告のオーディエンス、そして潜在ショッパーとしての移動者の存在は大きくなり移動者を知ることの重要性が益々高まってきているということです。コミュニケーションを扱う広告会社として、その重要ターゲットである“移動者”をより深く知り、より質の高いソリューションに結びつけることが本研究の目的です。
移動者の行動
移動中の生活者がしていること(行動特性)や移動中の生活者に起こっていること(特徴的状況)について、行動観察やインタビューによって抽出した仮説を定量調査によって検証したところ以下のような結果が得られました(一例)。
- 「移動者は電車で活発に情報収集したり家族や友人とコミュニケーションしたりしている」
- (スマホで情報を収集する:95.0%、家族や友人と連絡を取り合う:66.0%等)
- 「移動者は電車でいろいろな情報コンテンツを楽しんでいる」
- (スマホでいろいろなコンテンツを楽しむ:60.2%、ゲームをする:31.2%、音楽を聴く:29.8%等)
- 「移動者は通勤電車で忙しく用事をしている」
- (スマホで情報を整理したり処理したりしている:33.0%、メールやメッセージの整理をしている:20.0%等)
- 「移動者はいろいろな気づきを得ている」
- (季節の変化に気づく:60.0%、体調の変化に気づく:58.2%、街の様子の変化に気づく:43.0%等)
- 「移動者は通勤途中にいろいろな場所に立ち寄ったり買物をしたりしている」
- (コンビニに立ち寄る:63.4%、スーパーに立ち寄る:50.4%、習慣的に買っているものがある:37.4%等)
移動者の心理
生活者の移動に対する意識や移動中に感じていることなどについての仮説を検証したところ移動者の多くに以下のような心理があることが確認できました(一例)。
- 「移動時間を有効に使いたい」
- (できるだけ有効に使いたい:66.2%、通勤時間は考え事をするのに必要:48.2%、スマホの利用理由は移動時間を無駄にしたくないから:41.2%等)
- 「自分だけの空間と時間を持ちたい」
- (他人を遮断して自分だけの時間を過ごしたい:57.2%、移動時間は自分の時間として楽しもうとしている:35.4%等)
- 「気持ちを切り替えたい、リフレッシュしたい」
- (移動は気分を切り替えるのに必要:48.2%、移動中は仕事から解放されたい:37.8%、気分をリフレッシュしたい:37.0%等)
- 「日常を安定させたい」
- (毎日移動を繰り返すことで生活の安定感が得られる:45.0%、平穏無事であってほしい:39.6%、何も変わったことが起こらないでほしい:32.2%等)
- 「プラスαの満足感を得たい」
- (移動中に買物をして幸せな気分を得たい:20.2%等)
移動者の“ホンネ” その1
『移動者は“安楽”を求めている』
生活者は移動中、会社や家庭の立場を離れて自己を強く意識し主観的な感情を起こしやすくなります。仕事中は不安やイライラといった気分(Uneasy)になることが多く、そこから離れた時にその対極にある「Relaxed」な気分になりたいというのが、多くの移動者に共通する“ホンネ”と考えられます。
移動者の“ホンネ” その2
『移動者は“コムニタス”を求めている』
多くの生活者は家庭、会社、地域社会など複数の社会に属し各々で何らかの役割を担って生活していますが、その役割の中間にあるのが“移動”であり、そこで人はそれまでの役割から分離し、移行段階を経て、次の役割に再統合します。すなわち”移動”は、ある立場や役割から別の立場や役割に移行する“通過儀礼”であり、生活者はこの“通過儀礼”としての移動中に、社会的役割から離れて“素の自分”、すなわち“何者でもない存在”(コムニタスの状態)になろうとしているようです。
【調査概要】
「移動者の行動と心理に関するアンケート調査」
調査目的 | 過去4回の定性調査で得た仮説を定量的に検証 |
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調査方法 | webアンケート調査 |
調査時期 | 2018年11月~12月 |
サンプル数 | 事前調査30,000サンプル、本調査1,000サンプル |
調査対象者 | 近畿2府4県在住の20~59歳男女、フルタイム勤務者で、通勤で鉄道を週5日利用 |
仮説抽出のための 定性調査(計4回) |
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