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“生活者”と“鉄道”にフォーカスした
Jコミ独自の研究レポートをお届けします。

<研究テーマ> 仕掛学研究 「仕掛けが駅の人の流れを変えた」(JR大阪駅 仕掛学実験)

JR西日本グループと大阪大学大学院経済学研究所「シカケラボ(仕掛学ゼミ)」は、より利用しやすい駅の実現を目指した共同研究の一環として、JR大阪駅で仕掛学実験「大阪環状線総選挙」を実施しました。大阪環状線のホームに上る階段を利用しながら、“アフター5に行くなら福島か天満か”を投票するという“仕掛け”によって階段利用を促進しエスカレーターの混雑を緩和しようというのがこの実験の狙いです。実験の期間中、階段利用者をセンサーで感知しその投票件数をリアルタイムで表示することで「投票に参加してみよう」という利用者の気持ちを喚起し、狙い通りエスカレーター利用者が減少し、階段利用者が増加するという結果が得られました。
尚、「仕掛学」とは、大阪大学大学院経済学研究科の松村真宏教授が提唱する人の行動を変える“仕掛け”を対象とした学問で、ついやってみたくなる“仕掛け”を開発し様々な問題解決につなげようとする研究分野です。

ー研究レポートの一部、ご紹介ー
JコミMARKETING NEWS Vol.21(2019.9)<SUMMARY>

特集 「仕掛け」が駅の人の流れを変えた 〜JR西日本グループと大阪大学によるJR大阪駅での仕掛学実験レポート〜
仕掛学実験「大阪環状線総選挙」~アフター5に行くならどっち?福島派?天満派?~

JR西日本グループと大阪大学大学院経済学研究科「シカケラボ(仕掛学ゼミ)」は、より利用しやすい駅の実現を目指した共同研究の一環として、JR大阪駅にて仕掛学実験「大阪環状線総選挙」を実施しました。
この企画は学生の皆さんのアイデアをもとにしたもので、混雑するエスカレーターの利用者を減らし階段利用者を増やすことを目的としています。階段を上ることで投票に参加でき、それをセンサーで感知してその投票状況をリアルタイムでモニターに表示する仕組みになっていて、「投票に参加してみよう」という駅利用者の気持ちを喚起して階段を利用する人を増やそうとする実験です。

実施場所 JR大阪駅大阪環状線ホーム下階段
実施期間 2019年7月30日~8月5日
仕掛学とは
人の行動を変える“仕掛け”を対象にした学問。「ついやってみたくなる」“仕掛け”により、問題解決につながる行動を誘発する仕組みをみつけ新たな“仕掛け”を開発する研究分野。大阪大学大学院経済学研究科 松村真宏教授が提唱。
【実験結果】
階段利用者が1日あたり1,342人増加

「仕掛けあり期間」と「仕掛けなし期間」の階段利用者数とエスカレーター利用者数をもとに、仕掛けの実効果を算出するために週末特有の人の流れや淀川花火大会(8/10)などの影響を排除する統計処理を行ったところ、「大阪環状線総選挙」の期間中、仕掛けの効果により階段利用者が1日あたり1,342人増加したことが推計でき、今回の仕掛けがエスカレーター利用者の減少と階段利用者の増加に影響を与えたという結果を得ることができました。また、実験期間の1週間の福島派、天満派の得票数はそれぞれ50,731票(人)、85,759票(人)となり、選挙結果としては天満派の勝利となりました。

【1日あたりの階段利用者の増加人数】(推計/他の影響を排除)
松村教授のコメント
連日うだるような暑さだったので階段を使ってもらえるか心配でしたが「大阪環状線総選挙」という仕掛けによって階段利用者が増えたことが明らかになりホッとしました。また今回分析したモデルの調整済み決定係数は0.72であり、まずまずの説明力がありました。今回のお題は「アフター5に行くならどっち?」ですが、このお題を毎週変えることでこの階段を通ることが通勤・通学の楽しみになり階段利用が習慣化するようになればと考えています。