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“生活者”と“鉄道”にフォーカスした
Jコミ独自の研究レポートをお届けします。

<研究テーマ> 京阪神鉄道沿線研究 「鉄道沿線の魅力を探る」:鉄道沿線の特性とイメージに関する研究

都市生活者の多くは鉄道沿線に生活拠点を持ち、鉄道を利用して拠点間を移動しながら様々な消費活動や余暇活動をしています。また休日には普段と違った路線を利用して買物に出かけたり観光スポットを訪れたりします。こうした生活者の行動の中における鉄道沿線の価値は、居住地として、消費場所として、非日常的な時間を楽しむ場としてなど、その目的によって異なり、従って各鉄道沿線は各々の特性に応じて生活者のどういった目的やニーズに対応した価値を創り出すかという方向性を定めることが必要となります。本研究は京阪神の主な鉄道沿線の特性を生活者の視点から捉え、各々が目指すべき価値創造の方向性を示唆するとともに、各々の価値に合致した生活者の意向を生み出すために形成すべきイメージ要素を探り出し具体的方策に結びつけることを狙いとしています。
まずは京阪神の30の鉄道沿線を対象とした「京阪神鉄道沿線イメージ調査」を実施し、生活者から見た各沿線の特性を捉えた上で、鉄道沿線の魅力を高めると思われるイメージ因子を抽出しました。

ー研究レポートの一部、ご紹介ー
JコミMARKETING NEWS Vol.22(2020.3)<SUMMARY>

シリーズ 鉄道沿線の魅力を探る 生活者視点で捉えた京阪神主要鉄道沿線の特性 ~京阪神の主要鉄道沿線に対する生活者の意識・意向とイメージ〜

今回は京阪神在住の生活者を対象に、生活者が各々の鉄道沿線に対して持っているイメージや意識、意向を調査し、そのイメージをもとに京阪神の主要鉄道沿線の特性を分析しました。鉄道沿線には各々特性がありますが、その特性を生活者の目線で捉え各々がどのような生活者ニーズに対応した沿線価値を高めていくべきかを考えることが重要です。まずは各沿線の特性とタイプを知ることで、各々が生活者の「住みたい」や「出かけたい」といった意向、また「魅力を感じる」、「好意を感じる」といった好意的意識を醸成するためにどういったイメージをつくり上げればよいかというテーマの考察につなげたいと思います。

バリューイメージで捉えた沿線の特性とタイプ分類(例)
グラフ
利便性・娯楽性イメージ リード型沿線
「日常の利便性」と「娯楽性」のイメージが強いのはJR大阪環状線、大阪メトロ御堂筋線、阪神本線等の沿線。鉄道利用の便利さと大規模な商業集積、個性的な街機能等が「利便性」と「娯楽性」の強いイメージにつながっていると思われます。
観光イメージ リード型沿線
「観光」のイメージが強いのはJR琵琶湖線・嵯峨野線、南海高野線等の沿線でいずれも自然が豊かな地域を含む沿線ですが「歴史や文化を味わえそう」といったイメージも強く、「自然」と「歴史・文化」が観光イメージを形成する2大要素になっているようです。
住環境イメージ リード型沿線
「住環境」のイメージが強いのは阪急宝塚線・京都線、JR学研都市線の沿線。特に阪急宝塚線はそのイメージが突出し「治安がよさそう」、「教育環境がよさそう」といった因子に対して特に高いスコアが見られました。
高バリューイメージ バランス型沿線
JR神戸線(1)・京都線、阪急神戸線の各沿線は、都市機能の充実度に起因する「利便性」や「娯楽性」のイメージと「治安」、「教育環境」等のイメージがいずれも高く、「住むにも遊ぶにもよい」といったイメージ評価を得ているようです。
平均型沿線
バリューイメージの各項目がいずれも平均スコアに近いのは、JR宝塚線・神戸線(2)、大阪メトロ谷町線・中央線、京阪本線、近鉄大阪線・奈良線等の沿線。中でもJR宝塚線は全ての項目がほぼ平均値で最も平均的なバリューイメージを有する沿線といえます。

※沿線特性分析におけるバリューイメージ因子(沿線の利用価値に関するイメージ要素)
〈住環境〉治安がよさそう、教育環境がよさそう、住むことにステータスを感じる等
〈利便性〉通勤・通学がしやすそう、生活に必要なサービスが充実してそう等
〈観光〉歴史や文化を味わえそう、自然に触れられそう、街歩きを楽しめそう等
〈娯楽性〉繁華街がありそう、ショッピングできる場所がたくさんありそう等
〈外出スタイル〉一人で出かけるのによさそう、友達や仲間と出かけるのによさそう等
〈情報性〉沿線の情報をよく見聞きする、イベントが多そう、人の交流がありそう等

パーソナリティイメージで捉えた沿線の特性とタイプ分類(例)
グラフ
洗練×活気イメージ リード型沿線
「洗練されている」と「活気がある」のイメージが強いのはJR大阪環状線・神戸線(1)・東西線、大阪メトロ御堂筋線等の沿線で、都市機能や娯楽機能が充実していることがその要因と思われます。
洗練×伝統イメージ リード型沿線
「洗練されている」と「伝統的」のイメージが強いのはJR京都線、阪急京都線・宝塚線等の沿線。JR京都線と阪急京都線を比較すると、「伝統」のイメージは阪急がやや強く、「活気」のイメージはJRがやや強いようです。
素朴×伝統イメージ リード型沿線
「素朴」且つ「伝統的」のイメージが強いのは京阪本線、近鉄大阪線・奈良線・南大阪線の各沿線。「親しみがある」、「庶民的」といったイメージに加え、京都や奈良が沿線の中心になっていることから「伝統」のイメージも持たれているようです。
静かイメージ リード型沿線
「活気」の対極の「静か」のイメージが強いのはJR神戸線(2)・宝塚線・学研都市線などの沿線。これは自然の豊かさよりもむしろ、閑静で落ち着いた沿線の生活環境に起因するものと思われます。

※沿線特性分析におけるパーソナリティイメージ因子(沿線の性格に関するイメージ要素)
〈洗練〉洗練された、都会的な、高級感ある等 / 〈素朴〉素朴な、親しみのある等
〈活気〉活気のある、賑やかな、楽しい等   / 〈静か〉静かな、落ち着いた等
〈先進〉先進的な、若々しい、将来性ある等  / 〈伝統〉伝統的な、文化的な等

【調査概要】
京阪神鉄道沿線イメージ調査2019(webアンケート、1080サンプル)
調査時期 2019年9月~10月
調査対象者 近畿2府4県在住の20~74歳男女
対象路線 30路線(JRl5、大阪メトロ5、阪急・近鉄各3、南海2、阪神・京阪各1)
※JR神戸線(1)は「大阪駅~神戸駅」、JR神戸線(2)は「神戸駅~姫路駅」
設問内容 住環境・利便性・観光・娯楽性・情報性等に関わるバリューイメージ、
洗練・活気・素朴・伝統・先進等のパーソナリティイメージ
各沿線への居住意向・お出かけ意向・好意的意識(魅力度・好意度・信頼度)