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ホーム 実績紹介 マーケティングラボ一覧 MARKETING LABO <研究テーマ>コロナ前、コロナ禍、アフター第5波での梅田来街状況に関する調査レポート

Jコミ MARKETING LABO

“生活者”と“鉄道”にフォーカスした
Jコミ独自の研究レポートをお届けします。

<研究テーマ> 移動する生活者を知る
(移動者研究・リアル行動編)
梅田来街者の行動と意識の変化を捉える

今回のJコミマーケティングニュースでは、まず京阪神(梅田50Km圏)在住の生活者を対象に実施した“コロナ前”、“コロナ禍”、そして“アフター第5波”での梅田来街状況に関するアンケート調査をもとに休日の梅田来街者の構造や行動の変化を分析し、そして次にはコロナ前に月1回以上休日に、梅田に来街していた20代、30代の女性10名へのインタビュー調査をもとに、梅田の利用状況や意識の変化、さらにはユーザーの声から見えてきた梅田の街の魅力や価値について考察しレポートします。この分析によって「梅田来街者買い回り行動研究」を深めるとともに、梅田エリアの街開発や各駅・各施設のコミュニケーション戦略などに対するソリューション提供に結びつけたいと考えています。

「アフター第5波」とは、コロナ第5波に伴い発出されていた緊急事態宣言がすべて解除された2021年10月1日以降、第6波に伴いまん延防止重点措置が9都県に適用された2021年1月21日までの期間とします。
(但し、アンケート及びインタビューの設問において対象とする「アフター第5波」の期間は2021年10月~12月)

ー研究レポートの一部、ご紹介ー
JコミMARKETING NEWS Vol.26(2022.4)<SUMMARY>

シリーズ 移動する生活者を知る(移動者研究・リアル行動編) 梅田来街者の行動と意識の変化を捉える ~コロナ前、コロナ禍、アフター第5波での梅田来街状況に関する調査レポート~
定量調査(梅田来街者実態調査2021.)で捉えた梅田来街者の変化

梅田50Km圏に居住する生活者を対象としたアンケート調査より梅田来街者の構造の変化を見てみると、休日に3ケ月に1日以上梅田に来る“休日梅田来街者”の割合はコロナ前では48.5%であったのに対しコロナ禍では28.3%に減少、更に月1日以上来街する人の割合は35.1%から19.1%に減少し、逆に“梅田に行かない”という人はコロナ前での23.6%からコロナ禍では47.5%に増加したことがわかりました。またアフター第5波では、“休日梅田来街者”の割合は34.7%とコロナ禍に比べると少し回復の傾向が見られました。そして休日の全梅田来街者の中で週1日以上来街者を“超ヘビーユーザー”、月1回以上(週1日未満)を“ヘビーユーザー”、3ケ月に1日以上(月1日未満)を“ミドルユーザー”、それ以下を“ライトユーザー”としその構成比を見ると、コロナ前では全来街者の内の超ヘビーユーザーの割合が16.3%、ヘビーユーザーの割合が29.8%、それらを合わせると46.1%であったのに対し、コロナ禍では超ヘビーユーザーが12.4%、ヘビーユーザーが24.0%、合わせて36.4%となり、コロナ禍で梅田に頻繁に来街する人の割合が大幅に縮小していることがわかりました。しかしながらアフター第5波では、超ヘビーユーザーが14.0%、ヘビーユーザーが29.9%と、月1回以上来街する人の割合はコロナ前の水準に戻ってきている状況が見られました。

コロナ前の休日梅田ユーザーの来街状況がコロナ禍からアフター第5波にかけてどのように変わったかを見てみると、まずコロナ禍になって休日に梅田に来ることが減った人は全体の64.3%、コロナ禍でも来街頻度が変わっていない人は33.9%という結果が得られました。これを男女別で見ると、頻度が減った人の割合は「女性」が72.8%と「男性」の54.9%に比べて多く、また年齢別では「60歳以上」、職業別では専業主婦などの「無職」で来街頻度が減った人が多いことがわかりました。そしてまたコロナ禍からアフター第5波にかけてはコロナ禍で来街頻度が減った人のうちの37.8%の人がコロナ前の頻度に戻り、62.2%の人は戻っていないことがわかりました。コロナ前に戻った人の割合は「学生」、及び「18~29歳」で多く、やはり若い世代の人がいち早くコロナ収束の兆しに反応したようです。その結果アフター第5波では「学生」で73.7%、「18~29歳」で62.9%の人がコロナ前と変わらない頻度で梅田に来街しています。

定性調査(梅田ユーザー・パーソナルインタビュー2021.)で捉えた梅田ユーザーの行動と意識

コロナ前、休日によく梅田に来街していた20代、30代の女性10名へのインタビューをもとにコロナ前、コロナ禍、アフター第5波を経た中での梅田ユーザーの街の利用実態や意識を捉え、その上で生活者にとっての梅田の街の価値について考察しました。調査対象者の10名はいずれもコロナ前、休日に月1日以上梅田に来街していた梅田ユーザーで、その中の2名はコロナ禍でも変わりなく梅田に来街している人、4名はコロナ禍で梅田への来街が一旦減ったもののアフター第5波でコロナ前と同じ頻度に戻った人、そして別の4名はコロナ禍で来街頻度が減ったままアフター第5波でも戻ってきていない人ですが、この中の先の6名を「梅田ロイヤルユーザー」とし、その発言内容から梅田の街の利用の仕方を探ってみると以下のような特性が見られました。
 #ロイヤルユーザーは梅田の街を熟知している
 #ロイヤルユーザーは梅田の多彩な街の機能を上手に使いこなしている
 #ロイヤルユーザーは目的もなく梅田で街歩きをしている
 #ロイヤルユーザーは梅田でいろいろな情報を得て刺激を受けている

また、インタビュー調査での発言から、梅田ロイヤルユーザーの梅田の街に対する意識や利用に伴う気分などについて以下のような仮説が抽出できました。
 #ロイヤルユーザーは梅田に対して“特別感”を持っている
 #ロイヤルユーザーは梅田で“ワクワク感”や“満足感”を得ている

そして、これらの梅田ロイヤルユーザーの利用実態と意識から梅田の街の価値に関して以下の3つポイントが浮かび上がってきました。一つ目は「街の利便性」で、“何でも揃っている”ことで様々なニーズに対応でき、且つその多彩な機能がきちんと整理されていることで高い利便性を実現しているということです。いろいろな店やモノが豊富に揃い、それがテーマごとに編集されて“箱づめ”され(ビルに入っていて)、その箱(ビル)が駅の周辺に配置されていることで来街者は極めて便利に買い回りや街歩きができるということです。

二つ目は「高い情報発信性と刺激性」です。梅田は様々なニーズに対応できる街であると同時に新しいニーズを生み出す街でもあります。顕在化したニーズはネットショッピングで満たされますが新しいニーズを創出するのはそこでは難しいと思われます。ファッションや時代のトレンド情報、新奇性のあるモノやコトが集まる梅田の街でユーザーはそれらに触れて刺激を受け、自らの潜在的な欲求に気づくということです。梅田は街全体が巨大なショールームであり、そこにはこれから先も更に新しいモノが加わっていくという期待感もあり、その先進性のイメージも含めて強い“刺激性”が梅田の街にはあるようです。

そして三つ目は「非日常性」の価値です。関西の中心である梅田はユーザーにとっては“日常”とはかけ離れた特別な場所として認識されています。生活者は非日常的な空間で非日常的な時間を過ごすことで特別なワクワク感を得て、またそういった空間と時間の中では少し贅沢をしたり特別な自分を表現したりして普段は抑えている欲求を発散し、それによって日常では得られない満足感を得ることができます。梅田はそういった非日常的な時間を過ごせる場所であり、そのことが来街者にとって大きな価値になっているということです。

これらの3つの価値を全体として捉えると、“都会性”が他とは違った梅田の特性として考えられます。“都会性”とは何かといった問題はありますが、少なくとも今回の調査からは、周辺の生活者が梅田を関西唯一の“都会”と見ていることが読み取れました。ビルを中心とした街で、何でもあり、且つそれらが整理されていて利用しやすく、新しい情報が溢れていて刺激が得られ、そして非日常的な時間を体験できる、そういったものが“都会性”であるとすると、それは大阪の他の繁華街や京阪神の他の都市にはない梅田の特性であるといえます。

【調査概要】1. 梅田来街者実態調査2021.(定量調査)
調査目的 京阪神在住の生活者のコロナ前(2020年1月以前)、コロナ禍(2020年2月~2021年9月)、アフター第5波(2021年10月~11月・調査時点)における梅田への来街状況の把握(但し休日の来街について)
調査期間 2021年11月25日~12月1日
調査方法 webアンケート調査
調査対象者 京阪神(梅田50Km圏内)在住の18~74歳男女(4,000サンプル)
設問内容 基本属性、鉄道利用状況(自宅最寄り駅、勤務先・学校最寄り駅等)、休日での梅田来街状況(来街頻度、来街目的、利用施設等)
【調査概要】2. 梅田ユーザー・パーソナルインタビュー 2021.(定性調査)
調査目的 梅田ユーザーの利用行動の特性と梅田に対する意識にもとづく、生活者にとっての梅田の街の価値の洞察
調査期間 2021年12月17日~2022年1月5日
調査方法 デプスインタビュー調査
調査対象者 コロナ前に月1日以上休日に梅田に来街していた20代、30代女性10名
聴取内容 梅田来街状況と利用状況、買物事情の変化、梅田に対する思いや意識、その変化、コロナ禍を経て、アフター第5波で梅田に戻ってきた(戻ってきていない)理由、梅田の街に求めるもの等