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Jコミ MARKETING LABO

“生活者”と“鉄道”にフォーカスした
Jコミ独自の研究レポートをお届けします。

<研究テーマ> 移動する生活者を知る
(移動者研究・リアル行動編)
JR沿線居住者の通勤時の立ち寄りを捉える

前回までのJコミマーケティングニュースでは3回にわたって梅田来街者買い回り行動研究をレポートしてきました。今回はJRを利用して梅田方面へ通勤する生活者の最寄り駅周辺での立ち寄り行動をGPSにより調査。生活者が「行き」「帰り」にどのような場所に立ち寄るのかを分析、立ち寄る傾向が強い場所や駅ごとの特徴などを考察します。この分析によって生活者の行動研究を深めるとともに、各駅・各商業施設のコミュニケーション戦略などに対するソリューション提供に結び付けたいと考えています。

ー研究レポートの一部、ご紹介ー
JコミMARKETING NEWS Vol.27(2022.9)<SUMMARY>

シリーズ 移動する生活者を知る(移動者研究・リアル行動編) JR沿線居住者の通勤時の立ち寄りを捉える ~芦屋駅・住吉駅・伊丹駅・宝塚駅利用者の最寄り駅周辺での立ち寄りレポート~
立ち寄り行動の全体傾向

JRを利用して通勤する生活者のうち最寄り駅周辺で立ち寄り行動を行う人がどの程度いるのか、「行き」「帰り」や駅によって違いがあるのか、1ヶ月に1回以上立ち寄りをする人の比率をデータから捉えました。対象者全体の立ち寄り率は 今回調査した4駅利用者全体で1ヶ月平均39.1%でした。「行き」「帰り」ごとに傾向を見ると、「行き」の時間帯の立ち寄り率は20.9%、「帰り」の時間帯の立ち寄り率は31.6%という結果となり、時間の制約が少ないと考えられる「帰り」の時間帯での立ち寄りのほうが多いことがわかりました。また4駅別にみると、芦屋駅では30.1%、住吉駅では38.8%、伊丹駅では31.2%、宝塚駅では56.3%と、駅によってばらつきがあることもわかりました。

「行き」の時間帯の立ち寄り

「行き」の時間帯に最寄り駅周辺でどのような場所に立ち寄っているのか、5:00~10:00の時間帯での立ち寄りデータを分析しました。「行き」の立ち寄り場所をカテゴリに分けて確認したところ、最も立ち寄り率が高かったのは【食品店】で、立ち寄りした人のうち22.5%が利用していることがわかりました。最寄り駅周辺でその日の朝食や昼食、飲料を購入する人が多いと考えられます。慌ただしい朝の時間に家でとるはずの食事を外で購入し、時間を節約しようとする動きであると読み取れます。続いて【飲食店】への立ち寄りが20.5%見られるのは最寄り駅周辺での朝食と考えられます。朝の忙しい時間のなかでも飲食店に立ち寄り、自宅近くでモードチェンジをしてから職場に向かうような行動をする人もいることがうかがえます。さらに【商業施設】が14.9%と続き、駅周辺の商業施設には朝の忙しい時間帯でも立ち寄りがしやすいと考えられます。

「帰り」の時間帯の立ち寄り

「帰り」の時間帯に最寄り駅周辺でどのような場所に立ち寄っているのか、17:00~25:00の時間帯での立ち寄りデータを対象に分析しました。「帰り」の立ち寄り場所をカテゴリに分けて確認したところ、立ち寄りした人のうち29.8%が【飲食店】を利用していることがわかりました。仕事帰り、帰宅前の時間帯に最寄り駅周辺で一息ついて外食を楽しむ人が多いことがわかります。次いで、22.9%が【美容・健康関連】の施設に立ち寄っています。理容・美容、クリニック、マッサージなどが含まれるカテゴリですが、仕事帰りに最寄り駅周辺で容姿や身体のケアをして一日を終えるという行動を読み取ることができます。続いて多かった立ち寄り先は【物販店】です。書籍、衣料、生活雑貨など、ちょっとした日々の買い物などを帰り道で済ませる人が一定数いることが推察できます。「行き」の時間帯は急いで職場に向かわないといけないという制約があるために、立ち寄り行動自体が少なく、立ち寄り先も職場でとる朝食・昼食の購入などに集中する一方で、「帰り」の時間帯は仕事の呪縛から解放され、時間的な余裕ができることから立ち寄りそのものが増加します。一見すると【飲食店】への立ち寄りが集中するように見える「帰り」の行動ですが、立ち寄る飲食店のジャンルは多岐にわたり、利用シーンは多様です。「帰り」の行動パターンは「行き」のような多くの人に共通する「ワンパターンな」ものに集中するのではなく、それぞれの人の置かれた状況によって食事や飲酒、美容、健康、買い物など、時間の使い方が多様化しているようです。

飲食店や物販店への立ち寄り

飲食店は「行き」「帰り」ともに立ち寄り率が高いことが示されていますが、それぞれの詳細を確認すると、「行き」の時間帯では圧倒的に【喫茶】の利用が多い一方で「帰り」の時間帯では【喫茶】以外にも【居酒屋・ビアホール】【スナック・バー】など利用するジャンルが多岐にわたっています。「行き」の飲食店の利用目的が朝食に限定されるのに対して、「帰り」では夕食や飲酒といった目的はあるものの、そこで誰と過ごすのか、どう過ごすのか。それによりお店の選び方を変えるなど、立ち寄り先の自由度が高くなっているようです。
仕事帰りに、食事でも食材の購入でも身体のケアでもなく、買い物を楽しむ人はどのような人なのでしょうか。「帰り」の時間帯に物販店に立ち寄る人が利用しているお店の詳細を確認すると、最も立ち寄り率が高かったのは【繊維・衣料】、つまりファッション関連の店舗の利用が最も多いことがわかりました。【繊維・衣料】への立ち寄りを細かく確認すると、対象駅の中では芦屋駅利用者の立ち寄り率が最も高いことがわかりました。さらに、芦屋駅利用者に絞った【繊維・衣料】への立ち寄り率を見てみると、男女差はあまりなく、年代が高くなるほど立ち寄り率が高くなる傾向が見られます。今回の調査対象者は大阪駅周辺で勤務する人ですが、若年層が大阪駅周辺の商業施設などに立ち寄ってファッション関連の買い物をするのに対して、年配層は最寄り駅周辺に帰ってきてから落ち着いて買い物をする傾向があるのかも知れません。大阪駅のような都心と芦屋駅のような郊外駅それぞれ、駅周辺の店舗構成や品揃えを見るとこの傾向に合致しているように感じられます。

本研究レポートでは、今回ご紹介した以外にも利用駅ごとの「行き」「帰り」の立ち寄りの傾向の違いや、性別や年代別による違い、さらに立ち寄り率が高かった立ち寄り先や、特徴が際立った立ち寄り先などを細かく検証しています。

調査概要
調査目的 JR沿線に居住する通勤者の「行き」「帰り」の最寄り駅周辺での立ち寄り状況の把握に基づく、生活者にとっての最寄り駅周辺の店舗・サービスに関するニーズの洞察
調査期間 2022年1月1日~5月31日の平日
調査方法 GPSによる位置情報取得
調査対象駅 JR芦屋・住吉・伊丹・宝塚の4駅
調査対象者 各駅から半径2㎞以内に居住し、JRを利用して通勤を行い、JR大阪駅から半径5㎞以内のエリアで勤務する生活者
立ち寄りの定義 「行き」は5:00~10:00、「帰り」は17:00~25:00の時間帯における、最寄り駅周辺での5分以上かつ5時間半以内の滞在、立ち寄り先店舗・施設を10のカテゴリに分類して集計

※5分以内の立ち寄りを含まないため、コンビニエンスストアなどでの短時間の立ち寄りは今回レポートの対象外