PROJECT #03

媒体開発

交通広告の未来
〜交通媒体の価値を向上するために〜

大阪駅構内にある大型ビジョン「大阪駅セントラルサウンドビジョン」に突如現れて話題となった3Dヒョウの“アカツキ”。そこにはどんな狙いがあって、どのような成果を得たのか。今回、交通メディア本部の販売企画局の4人のメンバーに集まってもらい、交通媒体の価値をあげるための取り組みや課題、交通媒体の未来について語ってもらった。

MEMBER

R.UMEMOTO

販売企画局

2017年入社

JR西日本の交通広告の中で、主にSP媒体を担当。販売、掲出、撤去に至る一連の業務に携わり、媒体への広告展開における調整や、意匠審査にも携わる。インタビュー参加メンバーの中では最年長ながら、温厚な人柄で後輩たちからの信頼も厚い。

M.OGAWA

販売企画局

2019年入社

JR西日本の交通広告の売り上げ、出稿状況をまとめたり、駅の特定のエリア通行者に関するデータの分析、広告効果を測る調査の実施などを行っている。以前はUMEMOTOと同じ駅メディア部でSP媒体を担当しており、現場の知識も豊富。

R.KIKUCHI

販売企画局

2022年入社

主に車両サイネージ「WESTビジョン」、新幹線メディア、車体広告と3つの交通広告に携わり、媒体への広告展開における調整や意匠審査などを行う。バイタリティに溢れ、積極的に意見を発信。またユーモアあふれる発言で場を和ませる期待の新人。

M.YOKOEGAWA

販売企画局

2022年入社

UMEMOTOと同じ駅メディア部で、サインボード(看板)の販売、掲出に向けた意匠審査を行うほか、駅工事による対応や媒体の修繕対応の窓口としてサインボード全体の管理に携わる。KIKUCHIと同期の一年目で、若者らしいアイデアで交通広告に新しい風を吹かせる。

歴史ある交通広告のターニングポイントとなった「アカツキ」

2022年9月、大阪駅・暁の広場にある大型ビジョン「大阪駅セントラルサウンドビジョン」に突如登場した3Dのヒョウ“アカツキ”。本当にそこにいるかのようなリアリティで道ゆく人々を驚かせる一方で、のんびりと昼寝をしたり、大きなあくびをする仕草がチャーミングだと話題に。

「アカツキが誕生した背景には二つの狙いがあって、一つは交通広告媒体における3D広告の効果を検証するため。もう一つは大阪駅セントラルサウンドビジョンの交通広告媒体としての注目度をさらに上げるためでした」(UMEMOTO)

一般の人々と同様、クライアントの反応も上々だった。アカツキの放映以降、開発や管理を手がける販売企画局には多くの問い合わせがあったという。

「これまで3D広告に興味がなかったクライアントさんから“実際にどんなことができるの?”とか、“ちょっと(3Dに)チャレンジしてみようかな”と前向きなご意見をいただくようになりましたね。シンプルに“セントラルサウンドビジョンを使ってみたい”という声も増えました」(OGAWA)

もともとつながりのあったクライアントや代理店からだけでなく、新規のクライアントからの直接の問い合わせも増えたそうで、中には思わぬ内容の依頼も。

「“アカツキとコラボできないですか?”という問い合わせもありました。当初の狙いとは違いますが、いろんな意味で注目されていることを実感しています」(YOKOEGAWA)

想定を超える注目を集めたアカツキ。長い歴史を持つ交通広告の新たなターニングポイントになったと言えるだろう。

交通広告の未来のために、可能性を模索しトライし続ける

アカツキを開発・管理する販売企画局に所属するも、部署の違いから直接の関わりはないという4人。しかし、周囲からの反応も含めて、それぞれ大きな刺激を受けていると話す。

「交通広告の価値向上。ひいては交通広告の未来を考えるきっかけになりましたね。私個人としては、本来広告枠がないところに広告を出すSP媒体を手掛けており、自由度の高い業務に取り組んでいます。最近だと“SNS×駅広告”の相乗効果でバズる広告も増えましたが、もっと“デジタルとリアルのハイブリッド型広告”を作っていきたいと思います」(UMEMOTO)

2022年に入社した2人の新人も新しい交通広告の開拓に意欲を燃やす。看板広告を手がけるYOKOEGAWAはこう話す。

「従来の看板は“そこを通った時についでに見る”存在でしたが、これからは“わざわざ見に行く看板”の可能性も広げたいなって。自身が手掛けたものでは“応援広告”というものがあって、芸能人の誕生日を祝ったり、デビューしたばかりのアイドルの応援をするための広告で、韓国などでは結構メジャーなんです。Jコミでも以前ポスター広告で少しやったことがあるんですが、せっかくなら看板を使って大々的にやるべきだって思っていて。思い切って局長に話をしたら、“君がやりたいなら、やっていいよ”って、受け入れてくれました。まだ実績は作れていませんが、徐々に認知を拡大していきたいですね」(YOKOEGAWA)

車両メディア部に所属するKIKUCHIは電車の車内広告の可能性を日々模索中だ。

「電車内のサイネージ『WESTビジョン』を担当しているんですが、実現可能かどうかは置いておいて、映像に合わせて音や音楽を流せるようになれば、新たな媒体としての価値を提供できるのではないかと思います。車内の広告は、安全面などの理由から新しい媒体を設けることは難しいですし、協議が必要です。ただJコミは環境さえ整えばなんでもチャレンジさせてくれるので、若さを武器にどんどんトライして交通広告の新たな可能性や魅力を発信したいですね」(KIKUCHI)

規制さえも逆手に。アイデア次第で交通広告はもっと輝く

若い2人から良い刺激を受けていると話すUMEMOTOとOGAWA。しかし、KIKUCHIが話したように、乗り越えなければならないハードルが多いのも交通広告の宿命だ。

「たくさんの人が行き交うなかで、高い安全性を確保しなければならない駅という空間の中では、どうしても規制が強くなってしまいます。先ほどKIKUCHIから電車内で音を出せるようにという話もありましたが、電車の中は駅とはまた違った規制があります。また、規制は音だけでなく、映像の表現、いわゆる意匠の部分でも制約があり、修正をお願いすることも度々あります」(OGAWA)

これまでにもクライアントが一番見せたいシーンやビジュアルを広告規制の問題から、別の表現に差し替えてもらうことがたくさんあったと振り返るメンバーたち。そんな、厳しい規制に立ち向かうためには、発想の転換も必要だとUMEMOTOは言う。

「最近はコンプライアンスを逆手に取った広告の事例も増えてきている印象があります。例えばある漫画のキャラが銃を持つシーンがあるんですけども、銃自体が広告規制上、厳しいのですが、その銃を漫画と関連のあるサンマに変えて、さらに“広告規制のためこのような表現をしています”と注意書きを入れたところ、むちゃくちゃバズったんです」(UMEMOTO)

「確かにすごく反響ありましたよね。これは大袈裟ではなく、アイデア次第で新しい表現を見出すことができると実感しました。アカツキも応援広告も、もともとあった広告枠の可能性をアイデアで広げていこうという取り組みですし、『WESTビジョン』もまだまだ可能性が広がっているんじゃないかと思います」(OGAWA)

さらに広告の価値向上を目指すためには、販売企画局内における連携も重要になってくると話すOGAWA。

「主要駅の特定エリアに、カメラやWi-Fiアクセスポイントを設置していて、時間帯別の滞在人数や年齢層などをデータ化しています。現在は、これを統計にしてまとめ、取引先への販売支援として提供していますが、販売企画局の各部署へも必要な情報を定期的に共有できる仕組みが確立できればと思っています。そうすることで、クライアントが求めている情報を盛り込んだ販売案を、各部署で連携して検討できるのではないかなと思います」(OGAWA)

交通広告の価値を上げるために、日々新しい可能性を模索し続ける4人。彼らがそこで戦い続ける限り、交通広告の未来は、きっと明るく照らされることだろう。

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