PROJECT #03

新たな取組み

バーチャル大阪駅

PARTNER:JR西日本、JR西日本イノベーションズ

JR西日本グループの新たな取り組みとして2022年8月に公開された「バーチャル大阪駅」。駅の強みであるリアルの拠点性と、バーチャル空間を組み合わせ、“リアル×デジタル”の新たな価値を創造したことで話題に。今回、同プロジェクトの立役者となった次世代事業開発室の3人に当時の思いや、これからについて語ってもらった。

MEMBER

H.AKITOMO

クリエーティブ局/次世代事業開発室

2011年入社

ICR部で各種プロモーションの企画、制作運営ならびに広告媒体の運用を担当。もともとweb畑出身でバーチャルコンテンツへの知見も深く、今回のプロジェクトにおいても、多くのコンテンツを手掛けた。また中と藤野をチームに引き入れたキーマンでもある。

R.NAKA

ソーシャル&コンテンツビジネス局/次世代事業開発室

2015年入社

普段はグループ会社や自治体への営業を行う。今プロジェクトにおいては、全体の進行・予算管理を担当。さらにパートナーであるJR西日本本体とJR西日本イノベーションへの確認業務や、外部のコンテンツホルダーとの交渉も担当した。

H.FUJINO

プロモーション局/次世代事業開発室

2010年入社

通常業務として、年間を通し様々なプロモーションを手がける。今回のプロジェクトにおいても、リアルイベントを中心としたプロモーション全般を担当。3人の中ではムードメーカー的な存在で、忙しいチームの盛り上げにも貢献した。

関西初のメタバース上の駅
“リアル×デジタル”による、新たな価値の創造

コロナ禍の影響を受けない新たな経済圏、“メタバース”への挑戦

2022年8月開催の「バーチャルマーケット2022 Summer」にて展開された関西初のメタバース上の駅「バーチャル大阪駅」。メディアでも多数取り上げられ、イベント期間中はバーチャルだけでなく、現実の大阪駅に多くの来場者が訪れた。そんな話題のプロジェクトが始動したのは2021年の1月のこと。きっかけは長引くコロナ禍の影響だった。

「JR西日本グループのアセットは基本的に移動に紐づいていて、移動がない=利益が出ないという仕組みです。コロナ禍で移動が制限される状況下で、利益確保のために何か新しいことをしなければならないということで、どこにいても繋がることができるメタバース空間を使って、新たな経済圏を作ろうとしたことがプロジェクトの始まりでした」(FUJINO)

新規事業の発足にあたって、社内で最初に声をかけられたのは、特にインターネットコンテンツに強いAKITOMOだった。

「JR西日本グループがメタバースを展開するにあたり、他社と差別化できる強みとは何かを考えた時に、”駅”という誰しもが認知し、多様な機能性を持つリアルな場所を持っているということでした。そこからすぐに『大阪駅をメタバースにしよう』ということになったわけですが、後にメタバースを多くの企業や自治体、生活者の方に利用してもらえるサービスとするために、営業やリアルプロモーションの知見も必要だと思いました。そこで実力や経験はもちろん、何よりもパッションのある、NAKAとFUJINOの2人に声をかけました」(AKITOMO)

後に次世代事業開発室(2022年6月設立)の創設メンバーとなる、3人のプロフェッショナルはこうして集まった。

様々な視点から検証と確認をくりかえし、拡充させていったコンテンツ

手始めに既存のメタバースをベンチマークとして大阪駅をVR上に作り上げていった3人。それぞれ本来の業務との兼務ということもあって、とにかく時間がなかったと振り返る。

「現在も兼務であることに変わりませんが、プロジェクトの発足当時はまだ“次世代事業開発室”という部署もなかったため、詳細を知らないスタッフからは『あの人たちは何を忙しくしているのだろう?』と不思議に思われていたかもしれませんね(笑)。本当に“特命チーム”みたいな動きでしたから」(FUJINO)

「0からではなく、参考にできるものがあったので、(メタバースの)外観を作るのは、そこまで時間はかかりませんでした。しかし、よりおもしろくするためのコンテンツの追加には時間がかかりましたね。単純に追加するのではなく、やるからにはメタバースならではの体験の提供を意識しなければならなかったので」(AKITOMO)

限られた時間の中で互いに意見を出し、一つずつ増やしていったコンテンツ。新しいものを取り入れるたびに、関係先への確認作業に追われていく。

「そもそもこのプロジェクト自体が、JコミとJR西日本、JR西日本イノベーションズとの3社共同のものだったので、我々だけではなく一緒にプロジェクトを進めている2社と検討を重ね、合意を得られなければ成り立ちません。3社合意というのが大前提としてあり、そこからのコンテンツ拡充という流れがありました」(NAKA)

JR西日本グループ関連の見所が充実していくのと並行し、外部のコンテンツを導入するために、様々なジャンルのコンテンツホルダーとの交渉に向かったNAKA。当時の反応をこう振り返る。

「当時はどこの企業さんも『メタバースに興味はあるけど、何から手つけていいか分からない』という状況でした。そんな中で、『JR西日本グループが大規模でおもしろそうなことをしているなら、一度乗っかってみるか!』と、かなり多くの企業さんから前向きな回答や、応援をいただけたのが印象的でした」(NAKA)

“リアル×デジタル”の可能性を広げ、さらに発展させていく!

「JR西日本グループが関西を代表してメタバースに取り組んだことは、企業とのリレーションを築く上で大きな結果に繋がったと思います。出展が終わってからも様々な企業さんから『今後、何か一緒にできたらいいね』と、前向きな話をたくさんいただいています」(NAKA)

バーチャル大阪駅の成功は、世間に対してJR西日本グループの存在感を示す絶好の機会となると同時に、グループの中におけるJコミのプレゼンスを示す機会にも繋がったという。

「基本的にJR西日本グループの広告代理店として、グループ各社からお仕事をいただくという形が多いのですが、今回はJコミが、事業を推進していく2社と共に、グループ各社をはじめとする様々な会社にお声がけをしていく新しいかたちで進めていきました。これをきっかけに、新しい関係もいろいろと構築できたので、今後はNAKAがいっぱい仕事を取ってきてくれるんじゃないかなと期待しています(笑)」(FUJINO)

一方、今回のプロジェクトでは“リアル×デジタル”という同一のテーマのもとで、もうひとつのチャレンジも行われていた。

「VTuberとコラボしたカフェを大阪駅構内に出店しました。バーチャル空間にリアル(大阪駅)を作るのとは逆で、バーチャルを中心に活躍されているキャラクターをリアル(大阪駅)に引っ張り出してくると、どんな化学反応が起きるのかを実験したかったんです。最初はどうなるのか予想できませんでしたが、蓋を開ければ連日大盛況。すごく価値のあるチャレンジになりましたし、一つの強みとして今後も前向きに取り入れていくべきだと思いました」(AKITOMO)

今回のプロジェクトの成功により、JR西日本グループにとって、そしてJコミにとっての新たな収益の柱が確立されたとまでは言えない。しかし、今後そうなり得る可能性は大きく広がったと言えるだろう。次世代事業開発室は、新たな可能性を広げるため次に向かって動き出している。

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