PROJECT #03

地域共創

渋川海岸・王子が岳
魅力拡大プロジェクト

魅力ある観光資源を持つものの十分に活かしきれていなかった岡山県玉野市において、“通過点から目的地へ”をテーマにした魅力拡大プロジェクトを実施。大いに盛り上がったモニターツアーや、今もSNSなどで話題の屋外宿泊施設「てんとうみ」に関わったメンバーに集まってもらい、プロジェクトの起こりから、今後の展望について伺った。

MEMBER

Y.FUJIMOTO

ソーシャル&コンテンツビジネス局

2013年入社

魅力拡大プロジェクトの開始当初からメンバー管理や進行管理などを行ってきたキーマン。皆からのアイデアを取り入れつつ、最善の選択をし、プロジェクトを成功へと導いた。

S.TAKIMOTO

ソーシャル&コンテンツビジネス局

2017年入社

「てんとうみ」オープンの4ヶ月前にプロジェクトに加入し、若者目線で、サービスや価格設定の見直しを行った。また、公式インスタグラムの担当として日々、施設の魅力を発信。

K.FUNAKI

プロモーション局

2001年入社

「てんとうみ」の計画がスタートしたタイミングでプロジェクトに参加。空間づくりの豊富な経験で、ランドスケープおよび各施設・サインのデザインを担当。

A.YAMAWAKI

クリエーティブ局

2014年入社

FUNAKIと同じく「てんとうみ」の企画開始と共に合流。コピーライターとして「てんとうみ」のネーミングや、基本コンセプト設計を担当。

M.NAGAOKA

Jコミ岡山支社

2016入社

Jコミ岡山支社のメンバーとして地方創生のための国の補助金を獲得し、プロジェクト始動のきっかけを作った。玉野市だけでなく岡山全体を盛り上げるために日々奮闘中。

通過点から目的地へ。魅力ある観光資源の再発見

岡山県玉野市にある渋川海岸・王子が岳。夏のマリンスポーツを中心に、ファミリー層向けの魅力ある観光資源があるものの、県外からの誘客に課題があった。そこでJコミは地元の事業者をひと繋ぎにしたさまざまなプロモーションを実施することに。

「きっかけは地方創生に使える国の補助金をNAGAOKAたちが所属するJコミ岡山支社が獲得したことでした。もともと玉野市の事業を手掛けていたこともあって、補助金の公募があった際に玉野市で応募しようという話になったんです」(FUJIMOTO)

プロモーションの軸となったのは、玉野市の観光資源の再発見を主旨にしたモニターツアー。Jコミと地元の事業者(JR西日本岡山支社、川西マリンサービス、両備ホールディングス)、さらに旅行会社の日本旅行がひとつのチームとなって動かした企画だ。

「日本旅行さんにツアーを作っていただき、我々JコミがPRをかけて、申し込んでくださったお客様に玉野市の魅力に触れていただきました。同時にインフルエンサーさん限定のモニターツアーも行い、SNSなどで渋川海岸・王子が岳の魅力を発信していただきました」(NAGAOKA)

モニターツアーが企画として動き始めたのは、コロナ渦真っ只中の2021年9月のこと。ツアーの敢行に至るまでには多くの苦労があった。

「緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による外出制限など、何かしらの通達があるたびにツアーが中止になりました。進めて。止まって。進めて。やっぱり止まって、みたいなことが毎週のように起こりましたね(苦笑)。最後のモニターツアーは一番人が集まって、多くの関係者の方々と各地を巡った後に、なんとも言えない達成感を味わいました」(NAGAOKA)

ツアー参加者のアンケートは「満足」と「やや満足」が9割を超えるなど大盛況に終わった。

「玉野市の課題は、直島に行くための通過点からの脱却でした。今回のプロジェクトで、玉野市が持つ観光資源の再発掘であったり、磨きあげをしたことによって、玉野市が“通過点から目的地”へと変わるひとつのきっかけになったのではないかと思います」(NAGAOKA)

限られた予算の中で作り上げていった宿泊施設「てんとうみ」

プロジェクトの一環として、もうひとつの目玉となったのが2022年8月にグランドオープンした屋外型宿泊施設「SHIBUKAWA SEA PICNICてんとうみ」だ。

「渋川海岸や王子が岳を回ってもらう中で新しい宿泊施設も必要だという話になり、もともとあった古い野営場を整備して若者向けの屋外宿泊施設にしようという話になりました。立地が良く、以前は多くの人が訪れていたものの、時間と共に廃れていった場所で、玉野市からも何とか民間の力で盛り上げてもらえないかと言われたんです」(FUJIMOTO)

補助金のメインの使い道はあくまでモニターツアーであったため、「てんとうみ」の建設はJコミと渋川海岸の地方創生の意義に賛同いただいた民間事業者による出資で進められることに。企画が動き出すと同時にプロジェクトに加わり、施設デザイン全般を手掛けたFUNAKIは当時をこう振り返る。

「海岸の山肌に位置する最高のロケーションでした。海も綺麗だし、瀬戸内の多島美も絶景。ただ問題は、使える費用が潤沢ではないことでした(笑)。とはいえ、適当なデザインにはできませんし、安全性を確保しつつロケーションも活かさなくてはならない。さらに国立公園の中にあるため制約がすごく多く、看板一つ立てかけるにも申請が必要だったりと、とにかく大変でしたね」(FUNAKI)

FUNAKIと同タイミングで参加し、「てんとうみ」の名付け親にもなったYAMAWAKIは言う。

「最初にFUJIMOTOから話を聞いた時は若者向けのグランピング施設を作ろうということでした。従来のグランピング施設との差別化を考えた時に、他の施設がエンタメに特化していたり、料理や設備が豪華になっている分、すごく宿泊費が高くて、若者が利用するには少しハードルが高いなと思ったんです。私たちがターゲットにしているのは20代の若者だったので、費用を下げて、もっとカジュアルに楽しめる場所にしたい。そういった思いもあって、あえてグランピングと言う言葉を使わず、“シーピクニック”にしました。お弁当一つ持って気軽に楽しめる、そんな施設にしたかったんです」(YAMAWAKI)

注目度が高まった今こそ、埋もれないようにブラッシュアップ

「てんとうみ」のオープンに向けて着々と準備が進む中、FUJIMOTOの中で一つの疑問が生まれた。

「ターゲットを若者に設定したものの、価格設定であったり、どういったサービスが求められているのかというのを、きちんと把握できていないのではないかと思ったんです。その時のJコミメンバーや関係者全員が、良い歳をした男性ばかりだったことも理由ですね(笑)。そこで、もともと相談に乗ってもらっていた後輩のTAKIMOTOに正式にメンバーに加わってもらいました」(FUJIMOTO)

オープンまで4ヶ月を切ったタイミングでプロジェクトに加入したTAKIMOTOは話す。

「施設としてほぼ完成し、あとはオープンに向けて準備をするという段階で入ったので、実際自分に何ができるんだろうと思っていたのですが、想像していた以上にテコ入れするところがあって(笑)。“こんなにたくさんの料理は食べないです”とか、“ちょっと値段が高すぎます”とか、“このユニフォームは微妙です”とか、正直言いづらい部分もありましたが(苦笑)」(TAKIMOTO)

「僕たちが考える“エモい”はTAKIMOTOの世代にとって、すでに“うざい”域に入っていて(笑)。おじさん同士で話し合っていてはなかなか決まらないことも彼女が入ったことで、パパッと決まってきましたね」(FUNAKI)

現在は公式インスタグラムの担当として、日々若者に向けての発信を続けていると言うTAKIMOTO。メインシーズンとなる次の夏に向けて着々と準備を進めているという。

「おかげ様でテレビなどの取材を通して『てんとうみ』の認知も高まってきました。しかし最近は、玉野周辺でも同様の施設が増えてきているので、他の施設に埋もれてしまわないように、アクティビティや音楽イベントなど、毎年何かしらのイベントを企画して盛り上げていきたいなと思います」(TAKIMOTO)

地域が抱える課題解決を目的にスタートをし、Jコミ初の宿泊施設オープンにもつながった本プロジェクト。次の展開はどうなるのか、目が離せない。

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